【FutureBass】シンセの基礎知識|音作りで悩まないために
音作りや、プリセット選びだけで何時間も時間を使ってしまったり、
思うような音楽が作れなかったりしていませんか?
プリセット探しで、ものすごく時間かけちゃった
シンセの音作り、よくわかんないな
ただ、闇雲にシンセを操作しても時間だけが過ぎてしまいます。
ただ趣味で音楽をする場合は楽しむことが目的なので、気にしなくて良いことですが、
もし、「目指すアーティストがいたり、YouTube や Spotify で聴くような音楽を自分でも作ってみたい!」とか、「趣味だけどさらにレベルをあげたい!」と、しっかりと目標があって、それでなかなか上手くいかない場合、
その悔しさ、ぼくもすごくよくわかります!
シンセのプリセット選びで時間をかけ過ぎてしまったり、思い通りに音色を作ることができないのは、シンセの基礎知識と各パラメータによる挙動をコントロールできていないからです。
ここでは、シンセサイザーを使いこなしていくための基礎テクニックと音色作りの手順をお伝えしますね。
ここでお伝えするポイントを身につければ、
もう悩むことなくシンセの音色を作れるようになり、
何時間もかけてプリセット探しをする必要がなくなります。
これまでのシンセの使い方による作曲との違いに驚かれることでしょう。
オリジナルで作ろうとしている曲に、ちょうどぴったり合うようなプリセットを探すのはなかなか難しいものです。
プリセットごとに、きれいに響く音域や、得意なBPMがあるからです。
本質的な基礎知識とシンセをコントロールするための手順を無視して作っても、曖昧でぼやけた印象のサウンドになってしまい、リスナーに伝わらない音楽になってしまうでしょう。
本質的な基礎知識とシンセをコントロールするための手順があるからこそ、迷わずにシンセを使いこなせるようになり、自信を持って聴かせられるようになるのです。
シンセについてしっかり理解しよう
音作りで時間をかけ過ぎてしまう問題を解決する手段として
ある程度、目的の音色に近いものを見つけ、そのプリセットを調整して使うのがおすすめです。
どのパラメータを調整すれば目的の音に近づくのか、シンセの仕組みを知っていればわかるようになるので、結果的にプリセット選びや、音色の加工で無駄に時間を使うことが少なくなります。
それぞれのパラメータを理解していれば、音色を0から作り出すことも簡単になります。
各パラメータの役割を把握しておくのはとてもコスパが良いやり方だと思います。
一度、シンセの基礎を確認していきましょう。
シンセの基礎知識
まず最初に、シンセについてしっかり理解するには、
「音とは何か?」ということを、改めて確認する必要があります。
音とは?
「音」というのは空気の振動で、その振動が鼓膜に伝わって感じるものが「音」ということです。
それぞれの音には、それぞれの周波数特性を持っています。
わたしたちはその微妙な周波数の違いを聴き分けているってことになります。
・音の三要素
音は3つの要素に分けて説明することができます。
- 周期 ・・・音の高さ(高い音は周期が早く、低い音は周期が遅い)
- 波形 ・・・音の明るさ/暗さ(音色。波形の形によって音色が違って聞こえる)
- 振幅 ・・・音の大きさ(波形が上下に揺れる幅。大きい音は振幅が大きく小さいと振幅が小さい)
そして、その3つの要素を数値化することができます。
シンセではこれらの要素をコントロールして音色を作り出していくことになります。
下の動画では、音程、波形、振幅を順番に操作してみました。それぞれの音色の違いを確認してください。
シンセの構造
それでは次に、シンセの構造を見ていきましょう。
下の図が一般的なアナログシンセの構造を表した図です。
実線の矢印が、基本的な電気信号の流れです。
各回路を使って音をコントロールしていきます。
- オシレーター ・・・音を作り出す回路。波形、音程を決める。
- フィルター ・・・指定した周波数成分のみ、弱めたり、強調させて、音色を変化させる回路。
- アンプ ・・・音量をコントロールする回路。
この3つの回路だけでは、「ブー」とか「ピー」とかの時間的に何の変化の無い音にしかなりません。
そこで、上の図の上下にある「エンベロープ」や「LFO」を使って音楽で使えるように音色に変化をつけていきます。
- エンベロープ ・・・音が出てから鳴り止むまでの時間的な音の変化を作る回路。
- LFO ・・・周期的な変化をつけるための回路で、ビブラートやトレモロのような変化をつけることができる。
これらのように別の回路を使って音に変化を与えることを「変調(Modulation)」といいます。
それでは次に、上で紹介した各回路についてもう少し詳しく見ていきましょう。
オシレーター(oscillator)
まずは、アナログシンセのオシレーターが生成する4つの代表的な波形について解説していきます。
下の動画は、サイン波、ノコギリ波、三角波、矩形波の順に鳴らしてみました。その様子を確認できるアナライザーも表示しています。
音と名称、それから倍音の様子などを確認してみてください。
- サイン波(sin wave)
基音のみで、倍音を持ちません。ダンスミュージック ではサブベースでよく使います。
- ノコギリ波(sawtooth wave)
ノコギリの歯のような形をしています。全ての整数倍音を含んでいます。リード、パッドプラック など様々な場面で使う波形です。
- 三角波(triangle wave)
三角の形なので三角波。奇数倍音のみ含んでいます。高温にいくにつれて高周波が少なくっているので、丸みがある柔らかい音になります。ベースで使うことが多いです。
- 矩形波(square wave)
四角形であることから矩形波と呼ばれています。三角波のように、奇数倍音のみ含んでおり木管楽器のような音色です。音程を上げると金属のような音になるので、ベル系の音色などにも使います。
ちなみに「矩形(くけい)」とは四辺が直角の意味です。
さらに、もう2種類の波形です。
- パルス波(pulse wave)
この波形はパルス幅(puls width)と呼ばれている割合を変えることで倍音に変化をつけることができます。
パルス幅が50%の場合は、矩形波と同じ形なので、矩形波だとも言えます。
上で説明した、矩形波は奇数倍音のみ含んでいましたが、パルス波はパルス幅を変えることによって偶数倍音を含ませることができます。
下の動画で音色の変化を確認してみてください。
- ノイズ(noise)
これは、雑音や、騒音といった意味ですが、シンセの場合は「ザー」や「サー」といった音。
音程として感じない音で、不規則な動きをしています。
シンセでスネアやハイハットを作る時はノイズで作ることが多いです。
ライザーなどのSEを作るのにもよく使います。
高音域が多かったり低音域が多かったりするなどの違いで、それぞれノイズに名前がついていたりします。調べてみると面白いかもです。今回は割愛します。
フィルター(filter)
それでは次はフィルターです。
フィルターには様々な種類があります。
これらのフィルターは用途によって使い分けていきます。
まずは代表的な4種類
・ローパスフィルター
・ハイパスフィルター
・バンドパスフィルター
・バンドストップフィルター
次に
・ノッチフィルター
・コムフィルター
・ピークフィルター
下の動画では、ノイズに対してそれぞれのフィルターをかけてみました。
cutoff周波数を動かしてみたので、フィルターのかかり具合がわかりやすいかと思います。
それぞれのフィルターの名前と音色の違いを確認してください。
それでは順番に見ていきましょう。
- ローパスフィルター
指定した周波数よりも低い周波数帯域帯域のみを通過させるフィルターです。
シンセで「フィルター」と言えば、このタイプのものを指します。
一番使用頻度が高いフィルターです。
- ハイパスフィルター
先ほどとは逆に、今度は、指定した周波数よりも高い周波数帯域のみを通過させるフィルターです。
低音域を削ることになるので明るい音色にしたり軽い音にするときに使います。
- バンドパスフィルター
指定した周波数帯域を中心に、その周辺の音のみを通過させるフィルターです。
ダンスミュージック では、ノイズにかけてスウィープさせるなど、SEとして使うことがあります。
- バンドストップフィルター
指定した帯域周辺を低減させるフィルターです。
バンドパスと真逆の働きをします。
ワブルベースなどの音色に使われていたりします。
以上が、代表的なフィルター4種類でした。
この他にも様々な種類があるので、その中のいくつかを見ていきましょう。
- ノッチフィルター
バンドストップフィルターよりもカットされる帯域が狭い(Q値高い)ものとして区別されています。ピンポイントで取り除きたい帯域を削減します。
- コムフィルター
コム(comb)とは、櫛(くし)の意味です。ノイズにかけた場合、ギザギザの数(フィードバック)を増やしていくと音程を感じるようになります。
ギラギラした音色によく使われています。
- ピークフィルター
指定した周波数帯域だけを持ち上げたり、下げたりすることができます。
それでは次にフィルターのパラメータについて詳しく見ていきましょう。
・フィルターのパラメータについて
- カットオフ周波数(cutoff frequency)
どこを基準にフィルターの影響を与えるかを指定します。
- レゾナンス(resonance)
カットオフで指定した周波数を共鳴させます。そのポイントを強調させたいときに使います。
下の動画では、ノイズにかけたローパスフィルターの「cutoff周波数」と「レゾナンス」動かしています。それぞれの音の変化を確認してください。(レゾナンスは、わかりやすく大袈裟にかけましたが、実際の作曲ではほんの少し入れる程度です。)
- ロールオフ・スロープ(rolloff slope)
カットオフ周波数から徐々に減るような形になっていて、その角度を調整することができます。
カットオフから1オクターブ内で-6dB小さくなる単位を「1ポール(pole)」(1pole = -6dB/oct)
poleの数が大きくなるにつれて角度がきつくなります。
- キーボードトラッキング(keyboard tracking)
演奏(MIDIノートの音程)に合わせてカットオフの位置を微調整してくれる機能です。
アンプ(amplifier)
「アンプ」は音量を決めるセクションです。
このままでは、ただのボリューム調整と変わりませんが、これにエンベロープや、LFOなどで変化を与えることで、時間的に変化がある音楽的な表現ができるようになります。
それでは次に、エンベロープを見ていきましょう。
エンベロープ(envelope)
「エンベロープ」は、包括、包み、外皮の意味です。
シンセで、アンプにエンベロープをかけた場合、音が鳴り始めて音が鳴りやむまでに、どのように音量を変化させるのかをコントロールすることができます。
装置の名前は「エンベロープジェネレーター(Envelop Generator)」と言い「EG」と表記されることが多いです。
SERUMの場合は「ENV」と表記されています。
・エンベロープのパラメータ
下の図は、エンベロープを表したグラフです。
横軸が「時間」で縦軸が「Level」を表しています。
- アタックタイム・タイム
鍵盤を押してから最大レベルになるまでの時間。
- ホールド・タイム
最大レベルを維持する時間。(機種によってはこれが無い場合もある)
- ディケイ・タイム
最大レベルから指定したサスティーンレベルに向かうまでに、どれだけの時間をかけるかの値。
- サスティーン・レベル
鍵盤を押し続けた時に保持されるレベル。
- リリース・タイム
鍵盤を離してからレベルが「0」になるまでの時間。
「エンベロープ」は、アンプにかけたり、フィルターにかけることもできます。それ以外にも、様々なものにエンベロープをかけて使います。
これは、アンプにエンベロープをかけて、それぞれのパラメータを1つづつ操作してみました。
- アンプにエンベロープをかけたもの
次は、フィルターにエンベロープをかけて、それぞれのパラメータを1つづつ動かしてみました。画面右上で、フィルターの実際の動きが確認できます。
- フィルターにエンベロープをかけたもの
次は「LFO」です。
LFO(Low Frequency Oscillator)
「LFO」は「Low Frequency Oscillator」の略です。日本語で言うと「低周波発信器」の意味になります。
音として感じることは難しい「低周波(一般的に100Hz以下)」を出力する発振器です。
・LFOを使った代表的なモジュレーションの例
代表的なモジュレーションの例です。各種ごとに動画を作りました。
それぞれの聞いた印象、パラメータにモジュレーションしたときの深度(Modulator depth control)や LFO の 周期(Rate)を動かしたときの変調を確認してくださ。
- ビブラート(Pitch Modulation)
LFO をオシレータの Pitch にかけると、「ビブラート」になります。「Pitch Modulation」という呼び方もあります。
- トレモロ(Amplitude Modulation)
LFO を アンプ の Level にかけると、「トレモロ」になります。「Amplitude Modulation」という呼び方もあります。
- ワウ(Filter Modulation)
LFO を フィルター の カットオフ周波数 にかけると、「ワウ」になります。「Filter Modulation」という呼び方もあります。
- パルス幅モジュレーション(Pulse width Modulation)
LFO を オシレータ(パルス波) の パルス幅 にかけると、「パルス幅モジュレーション」になります。「Pulse width Modulation」という呼び方もあります。
合成について
音色を作る方法に、「合成」というものがあります。
その中でも代表的な合成方法は
・加算合成方式(かさんごうせいほうしき)
・減算合成方式(げんざんごうせいほうしき)
の2つがあります。その2つの合成方法について解説していきます。
加算合成方式(Additive synthesis)
周波数の異なるサイン波を重ね合わせて倍音構成を作り出していく方式です。
このほかに、サイン波ベースではなく、単純な基本要素を足し合わせて複雑な音色を合成する場合でも、「加算合成方式」と呼ばれています。
この合成方式は、最古のものだと、教会のパイプ・オルガンがこの方式にあたるそうで、歴史的に見ると何百年も前からある合成方式です。
・加算合成のパターン
実際の作曲で加算合成をしていく場合は、いくつかのパターンがあるのでそれぞれを見ていきましょう。
- 異なる音色を合成する
異なる波形を組み合わせることでバリエーションが広がります。足りていない周波数帯域を増やしてあげるようなイメージでやるとうまくいきやすいです。
- 異なる周波数で合成する
元となる波形と、もう1つの波形の音程を協和音関係(不協和音では無い調和の取れた和音)で変えたものを合成する。単体ではなかった倍音が足されてハーモニーが生まれます。
もう1つは「デチューン」と呼ばれているもので、元となる音から少しだけ、音程をずらすことで、音に厚みを持たせることができます。
- 異なる音量で合成する
音量の割合を変化させることで微妙なニュアンスを表現することができます。この時、他の合成方法と組み合わせて使っても面白いと思います。
- ユニゾン
同じ波形をいくつも重ねる方法です。ただ重ねただけでは音量が大きくなるだけですが、デチューンなどをかけて変化を与えると音に厚みが生まれます。SERUM の場合はデチューンと同時にスプレッド(音の広がり)も加わるようです。
減算合成方式(subtractive synthesis)
倍音を含んだ音を作り、後から任意の倍音成分を引くことで、新たな音色を作り出す合成方式です。
- カットする
いらない周波数帯域をカットオフ周波数を指定してカットします。
その際、フィルターの種類やpole値、レゾナンスの値などの調整をして理想の音に仕上げていきます。
- オートメーションでスウィープさせる
カットオフ周波数をオートメーションでコントロールする方法です。
時間経過とともにカットオフのかかり具合を動かすことによって音楽に変化を与えることができます。
- ノイズ + バンドパス
音程の無いノイズに、バンドパスフィルターをかけることによって、音程感を出すことができます。
上記のようにオートメーションでスウィープさせるのもダンスミュージックの常套手段です。
- ノイズ + コムフィルター
「ノイズ+バンドパス」の時のように音程感を出すことができますが、さらに広い周波数帯域をカバーしているので応用範囲が広がる。
キートボードトラッキングと併用してメロディーを演奏することも可能です。(うるさかったのでフェードインさせてます)
まとめ
今回は、長くなってしまったので、ここで一旦区切ろうと思います。
結構情報量が多くなってしまったので、ゆっくりマイペースに作曲に取り入れてみてください。
もし、分からないことや、説明が足りていないところなどがありましたらコメントいただけると助かります。
続きは、こちらになります。
それでは!